7. "Back to the Soul of Surfing"

この映画のオリジナルのタイトルは  " THE RIDE   Back to the Soul of Surfing " ですが、2007年の日本公開時や日本盤DVDでは「ザ・ライド ハワイアン・ビーチ・ストーリー」となっています。


サブタイトルの部分を「ハワイアン〜」としたのは、これは「サーフィン映画」というよりも「ハワイ映画」とした方が日本人には幅広く受け入れられやすい、との配慮が配給会社等関係者の方々にあったのかもしれません。映画の内容に沿った、なかなか良いネーミングだと思います。


その一方で、オリジナルのタイトルの " Back to the Soul of Surfing "、これに込められた意味も気になります。「サーフィンの魂に戻る(戻れ?)」…いったいどういうことなんでしょう? その答えは、この映画を撮るきっかけを語る監督の言葉にありました。


ネイザン・クロサワ監督「ここ何年間か、サーフィンにはよくないイメージがつきまとっていると感じてたんだ。多分、コンテストにまつわるマーケティングや商業主義が原因だと思う。プロ・サーキットと、サーファーたちの海の中でのスポーツマンらしからぬ態度を否定的に見てしまうのは、サーフィンが他のスポーツとは違って、本来、高貴な、精神的な究極の娯楽であり、古代ハワイアンが自然と一体化するためのものだったからだ。私たちはデューク・カハナモクの教えを通して、本当のサーフィンのスピリットを、もう一度みんなに知ってもらいたいと考えたんだ。」


映画の冒頭から描かれる、商業主義色の強いサーフィン・コンテストの様子や、そこで主人公のデイビッドが見せる「スポーツマンらしからぬ」不遜な態度と行動。ここは単なる映画のイントロダクションではなく、監督が現実の世界で問題に感じていることがストレートに表現されているパートだったのですね。海へのリスペクトを忘れ、サーフワックスを砂浜に打ち捨てる行為もきっと実際に目にしていたことなのでしょう。


ここでのデイビッドはいわば「サーフィンのよくないイメージ」の代表であり、だからこそ彼をデューク・カハナモクに引き合わせ、彼にこそ本当のサーフィンの精神を理解してもらう…。この映画のストーリー立ては、サーフィンを取り巻く現実の問題を背景に、人々の意識をよい方向へ転換したいという監督の願いを形にしたものと言えそうです。


「本当のサーフィンのスピリットを、もう一度みんなに知ってもらいたい。」

これが " Back to the Soul of Surfing " に込められた意味なんですね。

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