6. 「アロハ・スピリット」とは?

この映画のストーリーは、サーフィンのワールドチャンピオンであるデイビッド・モンローを中心に進んで行きます。表向きはデイビッドの奇想天外な体験と恋と成長の物語と言えるでしょう。しかし、真の主人公は実はデューク・カハナモクであり、彼が体現する「アロハ・スピリット」こそがこの映画のメインテーマなのだろうと思います。

それでは「アロハ・スピリット」とはいったいどういうものでしょうか? ネットを検索すると様々な解説を見ることができますが、ここでは、この映画の監督であるネイザン・クロサワさんの言葉から「アロハ・スピリット」について理解を深めたいと思います。


(2007年日本公開時のパンフレットから引用)

Q:監督自身、脚本を書く上で一番何を大事にして書いたのでしょうか?

A:本当のハワイをテーマにすることが大切だった。アロハ・スピリットはいろいろな言い方で、異なる言語や文化で表現することが可能だと思う。でも、ハワイのストーリーとセッティングの中で表現された時こそ、その言葉は光るし、観る人も理解しやすいと思ったんだ。


Q:デュークはどんな人物だったと思いますか。また彼は監督始め、ハワイアンにどんな影響を与えた人物なんでしょうか。

A:ハワイの人なら誰でも彼をアロハ・スピリッツの象徴として見ていると思う。彼はオリンピックの金メダリストで、有名人であったにも関わらず、常に謙虚でワイキキのビーチボーイであり続けたから。


Q:この作品を通して私たち観客に伝えたかったことは何ですか。

A:アロハ・スピリットを持って暮らす人生は、必ず良い方向に変わる。"お互いに優しく、そして尊敬を持って暮らす" これがアロハ・スピリットの神髄だと思う。1911年に戻ることはできないけれど、1911年の価値を持ち続けることは可能だと思う。



そして、パンフレットの裏表紙にある監督の言葉:

"Be kind to each other and live with respect to others and mother nature"  that is the essence of Aloha Sprit.  --- By Nathan Kurosawa

「お互いに親切に、また人々と母なる自然に敬意を持って暮らす(生きる)。それがアロハ・スピリットの神髄です。」


うむむむ…、これってきっと、昔の日本人が持っていた精神とほとんど同じですよね…。助け合いの心を持ち、また自然に敬意を抱き、自然から与えられた恵みに感謝しながら生きる。これは欧米の人々とは異なる特質のように思います。


しかし、現代の日本人にどれほどこのような精神が残っているでしょう…。明治維新以降の西欧化、戦後の高度経済成長、バブル景気、失われた20年といった時代を経て、どんどん失ってきてしまっている精神ではないでしょうか…。(時折、大災害の時などには発揮されますが、平時は全般的に……)



ハワイを訪れると私達を迎えてくれる心地よさや癒される感覚。それは、鮮やかな青空や爽やかな風、美しい海や緑の山々、巨大資本によって快適に整備された街やホテル等の設備だけによるものでは決してないでしょう。ハワイの人々が持ち続けている「アロハ・スピリット」 今の日本人が学ぶべきことは多いように感じます。


私がこの映画を繰り返し観たくなるのも、デュークの満面の笑顔、親切心、謙虚さ、海へのリスペクト…。彼が体現する「アロハ・スピリット」に触れたくなるからなのかもしれません。



最後に、この映画のエンド・クレジットの前に映し出されるデュークの言葉を持って、この項を終えたいと思います。


In Hawai'i we greet friends, loved ones and strangers with Aloha, which means with love. Aloha is the key word to the universal spirit of real hospitality, which makes Hawai'i renowned as the world's center of understanding and fellowship.

Try meeting or leaving people with Aloha. You'll be surprised by their reaction. I believe it and it is my creed.

Aloha to you.

Duke Paoa Kahanamoku

(映画の字幕)
ハワイの挨拶 "アロハ" の定義は"愛を込めて"
ハワイの寛容と助け合いの精神を象徴する言葉です
アロハと挨拶すれば きっと何かが変わるはず
それが私の信条です

デューク・パオア・カハナモク

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